No.002

心おだやかに過ごす場所

宮崎県宮崎市の住宅 橘通りの家(リノベーション)

既存の鉄筋コンクリート造のビルの一部で内装業の事業と住居を持つクライアントからの依頼で、リノベーションをしています.

元々は旦那さんの祖父母の住まいとしてありましたが、代替わりのため、若夫婦のための住居として設計しています.

場所は宮崎市の繁華街のほど近くで、大きな幹線道路沿いに建っています.生業(なりわい)と一緒になった住居としてあります.1つのテーマとして、商業のわいわいと賑わいのある場所で一方、心おだやかにに過ごせる場所としての住居のあり方を考えています.

上の写真は店舗と住居の切り替え部分の玄関です. (本当の玄関は別にあります.)

ここは、一度で見渡せないようにして、また少しミニマルなデザインにしています. 続きの廊下をなくすのではなく、あえてこの廊下(通路)を通る事で仕事モードから生活にモードが変わるように考えています.

ただ、利便性を考えて外からも気軽に縁側から入るようにすることも出来ます.こちらはモードを切り替えずに出入りできるように、汚れた衣服のまま入れるようにしており、しかし縁側の外部の扉を閉めると、住居(家族)が心おだやかに過ごせる場所になります. モードによって切り替えができるように考えました.

こちらのリノベーションで優先したのは、断熱性と素材でした.

デザインを優先したいので、寒い暑いというのでは良くないと思いました.現在の生活の中でのネガティブ要素を消していくことも考えます.

リノベーションでは性能とデザインを両立することが非常に大事だと思っています.

また、ちょうどお子さんを妊娠されているときに設計していたこともありますが、子供がハイハイしているときに気持ちの良い素材としてヒノキの無垢材のフローリングと調湿と臭いの調整機能を持つ漆喰の壁、温熱環境向上のためのペアガラスのアルミサッシなどきちんと全体的にバランスよく手を入れています.

黒い壁にテレビを置くと大型のテレビの存在が気にならない. 空間のちょっとした工夫.

もう一つ効果的だったのは目隠し塀を兼ねたデッキ空間でした. 隣が駐車場ですが、ほとんど気になりません.また、部屋が外部まで伸びていくように感じることができます.塀は半枚ずらして張ることで目線を防ぎながら、風を通すような工夫をしています.

ありがたいことに、クライアントのお仕事の一つでもあるブラインドやオーニングなどを実際の空間で取り付けていて、ショールームのような使い方もされています.

建築場所:宮崎県宮崎市
建築概要:鉄筋コンクリート4階建ての1階部分を一部改修 家族構成:夫婦+子供
床面積 :113.49㎡(改修部分)

text:山田伸彦建築設計事務所
Photo:見学友宙
※2016年の撮影写真をもとに2020年に再構成したものです.