2021.03.02

自宅を建てて分かったこと、すこし

2014年に自宅を建てました. 独立後の初めての新築の住宅でした. 蛸が自分の足を食べるようなもので何の収入にもなりませんが、楽観的です.とりあえず建ててみようと思いました.

 建てて認識したのが、決めることがたくさんあるということです.今まで設計の仕事はしていましたが住宅は、より物の居場所やクライアントの行動パターン、要望などを踏まえた設計をするんだなと当然ですが、認識しました. 面白いことに最低限の要望のみ言って全て任せる人もいますし、例えば収納のことでは棚の高さや深さ、棚板の枚数など全て細く指示する人もいます. そして、当たり前ですが建築費以外の他のお金もかかるということも分かりました. 登記や税金、保険もかかりますし、ローンを組み方も勉強しました. 自宅を建てるまでのこの経験が今の住宅設計のアドバイスにも活かせていると思います.

 僕は2拠点をしている関係で、どちらでも住宅費がかかってしまいます. ですので、先に支払い金額を決めて無理のない範囲で返済費用を決めました.そうすると必然的に小さく建てることになりましたが、それをテーマにすることにしました. 宮崎にいるときには庭(自然)に関わりたいと思いました. 当時は、子供がいなかったので家は小さくて良いと思っていて、もし変化があることも想定して将来の増築の余地を残して配置計画を考えました. 配置をどちらかに寄せずに南北に同じだけ石の庭と緑の庭を確保しています. 緑は見ているだけでも良いですよね.

一生賃貸か分譲か、戸建て住宅を建てるかマンションを買うかなど色々な選択肢を世間で言われていて、自分でも迷ってしまいますが、少なくとも僕は自邸を建てて良かったなと思っています.世間に住みたい賃貸がなかなかないということもありますし、高齢になって家を転々とするのも嫌でした. 自分に合った気持ちの良い空間で過ごす日々は何ものにも変えづらいと思っています. その場所に愛着もあります.

お金ももちろん大事ですし、それだけではなく定量できないファクターも大事だと思っています.自宅を建てて益々そういったところを体感しています.

不便益という言葉があるみたいです.それがその人の人となりを作っているようなものが、設計していると気になります. 便利さのみを追い求めた先には何があるのかが、疑問に思い気になったりもします.

最後にメンテナンスも大事で、手を入れることで愛着が湧きますし、こうすれば良かったなというところも分かります.(※こちらもその後の設計に活かしています.)


塗装(メンテナンス)前の外壁


塗装 (メンテナンス) 後の外壁 新築から7年経っていたので、試しに塗装してみた.

時間が合えば自宅を見てもらうことも可能ですので、興味のあるかたはご連絡いただければと思います. 参考になれば幸いです.